ようこそ!CONFLEX iNSIDEへ!
2007年4月16日月曜日
「計算化学で欲しい情報は?」- Part 2
計算化学の基本的な手法であるハートリーフォック法(HF法)は、シュレディンガー方程式の近似解法で、同じ軌道に同じ電荷を持つ電子を2つ入れるというずいぶん乱暴な計算法なのですが、イオン化ポテンシャルだけでなく、非常に多くの分子の情報をもたらしてくれます。
実際HF法のパラメーターは非常に少なく、分子の形と原子種、それと基底関数です。分子の形も最適化することにすると、パラメーターは基底関数だけになります。基底関数は実に多様で、これの選び方で計算の質が変わります。基底関数として、1s軌道、2s軌道、2p軌道にひとつずつ軌道を用意する一番小さい関数系を最小基底といいます。STO-3Gが有名です。STO-3Gは経験的に分子内結合を良く表すため、昔は計算された分子構造が実験値の代わりによく使われました。2s,2p軌道(原子価軌道)に2種類の軌道を用意した物が、Valence double-ζ(VDZ)基底関数系で、3-21Gや6-31Gがそれです。これに分極関数を足したり(6-31G**)広がった関数を加えたり(6-31++G)、なんだか多様すぎて選ぶのに苦労します。
いくつかの2原子分子の核間距離の実験値とHF法で最適化された値を比較した物を表1に示しました。基底関数は、STO3G, 3-21G, 6-31G, 6-31G**, 6-31++G**です。表2には、これらの計算結果と実験値の回帰直線Y = aX + bの傾き a と切片 b、そして相関係数も一緒にまとめました。
どれを使うべきか迷いますね。基底関数の選択は経験が物を言いますので、初心者の方はそれなりの方にご相談ください。いい加減な選択をするときっと泣きます。
CONFLEX iNSIDEは計算化学を応援しています。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿