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2007年4月3日火曜日

「分子の形は?」


 化学は、ベンゼンの構造式に代表されるように分子の構造の絵が重要な役割を果たす、極めて特殊な学問分野です。計算化学もその例に漏れず、分子構造分子軌道の形が多くの情報を持つので、それらの形を描くツールがたくさんそろっています。むしろ3次元描画やアニメーションが研究の道具として極めて重要な武器となる分野が化学という学問分野であると言えましょう。

 みなさんはお酒に含まれるアルコールであるエタノール:C2H5OHの分子構造が書けますか?Trans(トランス)型Gauche(ゴーシュ)型が書き分けられますか?もっと簡単なメタン:CH4が書けますか?メタノール:CH3OHは?これらが正しく書けないと計算化学はできないのです。ぜひ、もう一度確認してみてください。

 さて、ベンゼン:C6H6の構造です。ベンゼンは芳香族性を持つ平面分子として有名です。でも電子状態まで考えると、平面ではなくハンバーガーのような形をしているのです。図は、ベンゼンの静電ポテンシャルを斜め上から眺めたものです。上下のハンバーガーのパンがπ(パイ)電子の作る負の領域で、お肉がσ(シグマ)電子系です。ずいぶん違って見えるでしょ。実は分子同士はこういった形でお互いを認識しているようにみえます。ベンゼンの2量体の最安定構造は一つのベンゼンの上にベンゼンが立っているT型です。ベンゼンのパン(-)の上に他のベンゼンのお肉の外側(+)が刺さっている形をしています。これは、ハンバーガーの形をしたベンゼンという観点からみると、とても理にかなった構造です。次に安定な構造は、2つのハンバーガー(ベンゼン)が上下に少しずれて、お互いのパン(-)とお肉の端(+)が刺さっている形です。この時ベンゼンの面は平行ですが重なっていません。

 ホルムアルデヒド:CH2Oも平面の分子ですが、ホルムアルデヒドの静電ポテンシャルをみると、これも2次元ではなく、ちょうどキノコのような形をしています。ぜひ計算化学をお試しください。電子分布まで考えると分子の形は構造式とはずいぶん違ったものに見えますよ。

 このような表示を用いて分子と分子の隙間を正しく計算するという手法は、すでに創薬の現場で用いられていて、いくつか新しい薬の発見に貢献しています。例えば、今、何かと話題のタミフル(オセルタミビル)もそうですね。もちろん副作用は計算化学のせいではありませんが、その原因を調べるときにも計算化学は貢献できます。まさに計算化学恐るべし!!です。

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