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2007年2月28日水曜日

ところで「なんで計算化学なの?」-計算化学のメリット-



 化学は扱う分子の数が1つから1023個(アボガドロ数個)で、長さが10-12mから103m時間で、10-15秒(1ヘムト秒と言います。)から102時間と時間・空間のダイナミックレンジがきわめて広いという特徴があります。計算機によるシミュレーションは、このような広範な時空間のダイナミックレンジを柔軟に取り扱うことができますし、また太陽のような灼熱の環境における現象や冥王星のような極寒でも、宇宙空間のように超高真空・無重力の環境でも、深海のような高圧の環境のなかの現象でも、机の前に居ながら安全に素早くまた安価に取り扱うことができるのです。また、何度も何度も繰り返して同じ条件で現象を見ることができます。

  ほんの20年前まで、計算機の実力が十分無かった時代には、実験を通じた多くの経験から(天才が)法則を発見したり、問題を(天才が)解析的に解ける形に して、化学を発展させてきました。ところが大部分の化学現象は多くの相互作用が複雑に関係するため、実験には多くの時間と経費がかかりますし、極端な環境 での現象の観測には多くの危険が伴います。繰り返しも同じ条件でするのは至難の業です。材料の問題や廃棄物処理といった問題も無視することはできませんし、また、問題を解析的に解くには多くの近似に頼らなければなりません。そういった時間、経費、安全性、さらには、解ける形にする近似から来る曖昧さや不正確さの弊害をなくした研究方法が計算化学であり、高性能計算機が普及した今日では、非常に広範囲な応用分野で盛んに行なわれるようになってきました。これには、計算機自身やネットワークの飛躍的な性能の向上だけでなく、各分野独自の研究手法の開発が進んできたことも大きく影響しています。

  このように計算化学の発達により、世界中に蓄積された多種多様なデータベースから、より広範囲な適用範囲を持ち精度の高い法則の抽出が容易に行なわれるよ うになってきています。また大規模で高精度なシミュレーションにより、解析的には解けない問題の解決はもとより、実験データに対する仮定の直接的な検証、 及び解析的には予想の困難な新しい現象の予言ができるようになってきました。

 計算化学のメリットは、早く、安く、安全に、それなりの精度で研究開発ができることです。

 CONFLEX iNSIDEは、計算化学を応援しています。

2007年2月23日金曜日

ところで「計算化学ってなに?」(3)-簡単な計算化学-



 化学は扱う分子の数が1つから1023個(アボガドロ数個)で、長さで10-12mから103m、時間で10-15秒(1ヘムト秒と言います。)から102時間と時間・空間のダイナミックレンジがきわめて広いという特徴あります。そのため系のサイズに対して用いる研究開発の手法も大きく異なります。

 私たちがさわれるサイズ(原子1023個程度の系)の系の性質を研究するとき、物性推算法構造活性相関法が使われます。これらは、データベースから経験的手法を導き出し、それを用いて種々の物性定数を推算する方法です。研究者の頭脳に蓄積された知識DBからの法則発見はごく少数の天才にのみ許された作業でしたが、現代では計算機を用いて、人の頭脳の容量を遥かに超えた多種多様なデータベースから、より広範囲な適用範囲を持ち精度の高い法則の抽出が容易に行われるようになってきています。

 簡単な例を紹介しましょう。図はアルコールエーテルの分子量と沸点をエクセルに入れ、グラフにし、さらに回帰直線を引いたものです。回帰直線式は上がアルコールで下がエーテルのものです。この式はエクセルが最小自乗法で自動的に作った式です。アルコールやエーテルの分子量がわかるとこの式を用いて沸点の予想ができます。これを見ると同じ分子量でもアルコールの沸点の方が高いことがわかります。なぜでしょう??

またアルコールでもエーテルでも同じ分子量を持つ異性体の沸点が違うことがわかります。エーテルではn-XXXXよりiso-XXXの方が低いのです。なぜでしょう?

これらは、計算化学の問題ではなく化学一般の問題です。お楽しみください。

 お茶の水大学名誉教授で数理化学の大家である細矢先生は、学生の頃、化学便覧の飽和炭化水素熱力学量の表をみて、あの有名なトポロジカルインデックス(海外では細矢インデックスのほうが有名)をひらめかれたそうです。できる人はちがいます。

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2007年2月20日火曜日

ところで「計算化学ってなに?」(2)



 化学は扱う分子の数が1つから1023個(アボガドロ数個)で、長さが10-12mから103m、時間で10-15秒(1ヘムト秒と言います。)から102時間と時間・空間のダイナミックレンジがきわめて広いという特徴があります。そのため系のサイズに対して用いる研究開発の手法も大きく異なります。

 分子レベルの現象の解析には、量子力学に基づく分子軌道法が用いられます。分子軌道法では、分子の安定構造、分子の生成熱、双極子モーメント、イオン化ポテンシャルなど分子独自の性質を得ることができます。また、広範囲なポテンシャルエネルギー曲面を正確に描くことが可能であるため、化学反応過程を精密に解析することや、スペクトル解析に必要な分光定数などの物理量を高精度に求めることが可能です。

 原子数102を超えると、分子は色々な形の安定構造(立体配座)で存在するようになるため、その一つ一つに分子軌道法を適用することが難しくなります。そこで、分子力学法がしばしば用いられます。分子力学法では、分子軌道法と同様に、分子の安定構造や生成熱だけでなく、振動準位なども簡単にを求めることができます。ただし、古典力学に基づくため分子の電子的性質、例えばイオン化ポテンシャルや化学反応過程を調べることはできません。

 原子数106程度の系には、古典力学に基づく分子動力学法が用いられます。分子動力学法では、計算機の中の物質系に対し、すべての原子・分子の位置と速度を測定し、その情報を用いてその物質のマクロな性質を調べます。相互作用の計算方法により様々な分子動力学法が存在します。最近では1010粒子の計算も行われるようになってきました。

 原子数1010程度の系になると、モンテカルロ法が用いられます。モンテカルロ法は乱数を用いて粒子の分布から物質の熱力学的諸性質を求める方法ですので、構造の時間変化などを求めることはできませんが、系の統計的平均量を効率よく計算することができます。

 さらに系のサイズがおおきくなり、私たちがさわれるサイズになると(原子1023個程度の系)では、物性推算法や構造活性相関が使われます。これらは、データベースから経験的法則を導き出し、それを用いて種々の物性定数を推算する方法です。研究者の頭脳に蓄積された知識DBからの法則発見はごく少数の天才にのみ許された作業でしたが、現代では計算機を用いて、人の頭脳の容量を遥かに超えた多種多様なデータベースから、より広範囲な適用範囲を持ち精度の高い法則の抽出が容易に行なわれるようになってきています。

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2007年2月16日金曜日

ところで「計算化学ってなに?」(1)

 化学は自然界の物性を理解し,その知識を用いて人類の生活にとって有用な物質を開発する分野です.そのため,
  1. 新しい分子・材料の構造と組成を探索する「分子・材料設計
  2. 「分子・材料設計」により示唆された分子や材料を実際に効率よく合成する方法を探索する「合成反応設計
  3. 「合成反応設計」に基づいて合成された物質の構造を精密に決定するための「構造決定
の三つの分野に分類することが出来ます.それぞれの分野では,21世紀の今でも実験的手法が主な研究手法です.ところが20世紀後半に確立された量子力学と電子計算機の急速な発展と普及を背景に,コンピュータシミュレーションによる化学研究の方法,つまり計算化学が,安価で高速で安全化学の研究方法として広く利用されるようになってきました.ですから計算化学というのは,一言で言えば,実験をするのではなくコンピュータシミュレーションによる化学研究開発手法のことです.

 計算化学の大きな成果は分子軌道法の完成と普及です.日本の科学者はこの分子軌道法の発展に非常に多くの寄与をしています.分子軌道法を基礎とする化学反応理論の構築で,福井謙一先生が1981年にノーベル化学賞を受賞されています.分子軌道計算プログラムとして有名なGaussianシリーズの開発者のJ. A. Pople先生もノーベル化学賞をもらっています.Gaussianシリーズのプログラムには日本の方々が開発された方法がたくさん含まれています.また,今もなお日本人が開発した新しい方法がGaussianシリーズのプログラムに組み込まれ広く世界の研究者に使われようとしています.

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2007年2月15日木曜日

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