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2007年2月16日金曜日

ところで「計算化学ってなに?」(1)

 化学は自然界の物性を理解し,その知識を用いて人類の生活にとって有用な物質を開発する分野です.そのため,
  1. 新しい分子・材料の構造と組成を探索する「分子・材料設計
  2. 「分子・材料設計」により示唆された分子や材料を実際に効率よく合成する方法を探索する「合成反応設計
  3. 「合成反応設計」に基づいて合成された物質の構造を精密に決定するための「構造決定
の三つの分野に分類することが出来ます.それぞれの分野では,21世紀の今でも実験的手法が主な研究手法です.ところが20世紀後半に確立された量子力学と電子計算機の急速な発展と普及を背景に,コンピュータシミュレーションによる化学研究の方法,つまり計算化学が,安価で高速で安全化学の研究方法として広く利用されるようになってきました.ですから計算化学というのは,一言で言えば,実験をするのではなくコンピュータシミュレーションによる化学研究開発手法のことです.

 計算化学の大きな成果は分子軌道法の完成と普及です.日本の科学者はこの分子軌道法の発展に非常に多くの寄与をしています.分子軌道法を基礎とする化学反応理論の構築で,福井謙一先生が1981年にノーベル化学賞を受賞されています.分子軌道計算プログラムとして有名なGaussianシリーズの開発者のJ. A. Pople先生もノーベル化学賞をもらっています.Gaussianシリーズのプログラムには日本の方々が開発された方法がたくさん含まれています.また,今もなお日本人が開発した新しい方法がGaussianシリーズのプログラムに組み込まれ広く世界の研究者に使われようとしています.

 CONFLEX iNSIDEは,計算化学を応援しています.

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