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2007年2月20日火曜日

ところで「計算化学ってなに?」(2)



 化学は扱う分子の数が1つから1023個(アボガドロ数個)で、長さが10-12mから103m、時間で10-15秒(1ヘムト秒と言います。)から102時間と時間・空間のダイナミックレンジがきわめて広いという特徴があります。そのため系のサイズに対して用いる研究開発の手法も大きく異なります。

 分子レベルの現象の解析には、量子力学に基づく分子軌道法が用いられます。分子軌道法では、分子の安定構造、分子の生成熱、双極子モーメント、イオン化ポテンシャルなど分子独自の性質を得ることができます。また、広範囲なポテンシャルエネルギー曲面を正確に描くことが可能であるため、化学反応過程を精密に解析することや、スペクトル解析に必要な分光定数などの物理量を高精度に求めることが可能です。

 原子数102を超えると、分子は色々な形の安定構造(立体配座)で存在するようになるため、その一つ一つに分子軌道法を適用することが難しくなります。そこで、分子力学法がしばしば用いられます。分子力学法では、分子軌道法と同様に、分子の安定構造や生成熱だけでなく、振動準位なども簡単にを求めることができます。ただし、古典力学に基づくため分子の電子的性質、例えばイオン化ポテンシャルや化学反応過程を調べることはできません。

 原子数106程度の系には、古典力学に基づく分子動力学法が用いられます。分子動力学法では、計算機の中の物質系に対し、すべての原子・分子の位置と速度を測定し、その情報を用いてその物質のマクロな性質を調べます。相互作用の計算方法により様々な分子動力学法が存在します。最近では1010粒子の計算も行われるようになってきました。

 原子数1010程度の系になると、モンテカルロ法が用いられます。モンテカルロ法は乱数を用いて粒子の分布から物質の熱力学的諸性質を求める方法ですので、構造の時間変化などを求めることはできませんが、系の統計的平均量を効率よく計算することができます。

 さらに系のサイズがおおきくなり、私たちがさわれるサイズになると(原子1023個程度の系)では、物性推算法や構造活性相関が使われます。これらは、データベースから経験的法則を導き出し、それを用いて種々の物性定数を推算する方法です。研究者の頭脳に蓄積された知識DBからの法則発見はごく少数の天才にのみ許された作業でしたが、現代では計算機を用いて、人の頭脳の容量を遥かに超えた多種多様なデータベースから、より広範囲な適用範囲を持ち精度の高い法則の抽出が容易に行なわれるようになってきています。

 CONFLEX iNSIDEは、計算化学を応援しています。



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